石がジュエリーになるまで

友人の家で、宝石の写真集を見ました。彼女はあのきらきらとした美しい石が大好きなのです。ただ、身につけることにはあまり興味がないのだとか。アクセサリーとして使うことしか考えてこなかった私は、彼女の言い分に驚きました。しかし人の好みはそれぞれですから、これも楽しみ方のひとつなのでしょう。それに、私はこの写真集で知ったのですが、美しいカットをされてジュエリーとして加工されたものではなく、現先の中のひと筋の輝きも、とても魅力的なのです。
これが土の中から出てくるとすれば、まさに宝探しと言うにふさわしいでしょう。ですが、見つけるのは大変でしょうね……だって、一日中暗いところで土を掘り、それを細かく仕分けして、やっとのことで、ジュエリーに加工できるものがある、といった具合ですもの。しかも、石はここから研磨しないといけません。一ミリの狂いも許されない、細かな作業を続け、台座に取りつけたりして、やっとお店に並ぶのです。
これらはすべて、本に書かれていました。自分が知らなかった業界のことを知り、宝石の付加価値に気付かされた思いでしたね。またそれは同時に、目の前にあるものから、見知らぬ世界を見せてくれるのが書籍だということを、実感したひとときでもありました。