初心が未来を救う

知人に、漫画を書くことを生業としている方がいます。その人は今でこそ連載を持っていますが、デビュー当時は、それは大変な思いをしたそうです。その際、自分に足りないものは何かを知るために、ひたすら絵を描き、話の作り方を学んだのだとか。しかも本を読んだり人に聞いたりしたのではなく、人気の方の漫画を読んで、模写したりプロットを立ててみたりしたのだそうです。
自分はプロになったのだというプライドもあったでしょうに、この初心に帰る向上心は、見事だと思います。結果努力は糧となり、今の地位を築き上げたのですもの。普段話しているぶんには、明るく楽しいことが大好きで、苦労があったことなどみじんも感じさせないのも素晴らしいと思いました。本当に、尊敬に値する人です。
たぶん、世に出ている方たちは、陰ながらたくさんの努力をしているのでしょうね。ファンの夢を壊さないために、ちょっとの体調不良も不満も隠して、明るいところだけを前面に出しているのでしょう。職種は違っても、漫画家の友人となんら変わることはありません。ただ、人前に出る方だけではなく、自分だって頑張れるはず。ぜひみなさんを見習って、私も前向きに進んでいきたいと思います。

雰囲気の魔法を求めて

友人と、キャンプで食べるカレーは美味しいという話になりました。たとえ飯ごうで炊いたご飯が焦げていても、カレーが普段とは違うメーカーのレトルトだったとしても、そして食べ物の上に灰が舞っていたとしても、なにも気にならないのです。たぶんそれは「外で、皆で食べている」という魔法がかかっているからなのでしょうね。
本を読む時にも、そのような魔法が感じられる時があるのですよ。たとえば図書館の机に向かってページを繰っていると、内容がどんなものであれ、自分は学んでいるという気持ちになります。あの静寂と、本に囲まれた場所という事実が、そう思わせているのでしょう。反対に自宅で横になっている時は、たとえ資格試験のテキストを見ているのだとしても、どうも軽い気持ちになっていけません。学習は机に向かってという意識が働いているのか、それとも普段そうやって読むものが軽いものばかりだからなのか……おそらくは両方なのでしょうね。
しかしそういうことは、図書館の机に向かって資格の学習を行えば、すごく立派な自分を錯覚できるということでもあります。もしかしたら普段以上に、内容が頭に入ってくるかもしれません。そう言った後にいそいそと外出準備を始めた私を、友人は笑いながら見ていました。