この記事は何分で読めますか?

先日ネット上の記事を読もうとしたら「この記事は○分で読めます」というようなコメントが出てきました。これ自体は今までにも見たことがあるので、驚きはしなかったのです。しかしふと、この時間の基準は何だろうと気になりました。だって、文字を読むスピードは人によって、かなり違いますよね。私の友人の中には、小説をたった二時間で読了する子もいれば、一か月近くかけて読む子もいます。
ただ、前者の子は内容はそれほどしっかり覚えていません。読んでいる最中だけ楽しいタイプですね。本人は、「気に入った作品は、何回呼んでも面白いと思えるから、ちょっとお得な感じがする」と言っていました。一方後者の人は、その後再読の必要がないくらい、詳しく話を覚えています。だから本はいつも、一度きりしか楽しめないのですって。完璧に記憶しているから、先がわかってどきどきできないのだそうです。
ネットの記事は、そこまでしっかり覚えるほどに読み込むことはないでしょうから、なにかの平均かもしれませんね。大体は数分の時間が出るので、特別難しい根拠はなく、そんなに長くないから読んでねというアピールという可能性もあるでしょう。それはそれで、人を惹きつける術を心得ているなあと感心しますね。

看板のフレーズは店主の心

先日、古本屋の前にある黒板……と呼んでいいのでしょうか。マジックで手書きができる看板に、詩の一節が書いてありました。ここの主は、こうしてお気に入りのフレーズを書きとめることで、道行く人の足を止めようとしているのです。これは本人に聞いたことなので、確かですよ。私は何年も前から、この書店に通い続けています。
看板に書かれた言葉が気になって、入口のガラス越しにひょいと中を覗いたのがきっかけでした。偶然主と目が合って、なんとなく入らなければいけない雰囲気になったのです。しかし実はその時は、ここが書籍を扱っているとは知りませんでした。だって明らかにカフェっぽい看板が出ているし、どちらかと言えば事務所のような外観なのですもの。戸はガラス張りだけど、あとは普通の壁なので、遠くから中を見ることはできないのです。
こんなお店で人が来るのかと思いきや、けっこうたくさんの常連さんがいる様子。チェーンでない古本屋は少ないので、自然と読書好きが集まるのかもしれません。それとも主の人柄かな。気さくで朗らか。なんでも笑い飛ばしてしまう元気があるので、顔を見るとそれだけで、明るい気持ちになることができます。今後も長く続いてほしいお店のひとつです。