変わり者が教えてくれる人間という存在

昨日コンビニエンスストアで働く女性を主人公にした小説を読みました。小さな頃から社会の中で居心地の悪さを感じてきた彼女にとってコンビニでのバイトはライフスタイルの最も重要な居場所です。というよりもそこが生きる世界であり、バイトを軸に暮らしのスタイルが形成されていると言っても過言ではありません。そんな彼女に転機が訪れたのは職場で出会ったアクが強い男性の存在であり、それは今まで知る事のなかった新しい価値観を与えます。男性は友達にはなりたくないような嫌な奴なのですが、作品においてはシュールさと絶妙なユーモアを与えていました。主人公もまたキャラクター的要素が非常に辛かったため、この男女のやり取りは非常に面白く思わず笑ってしまうほどでした。
そんな斬新でユーモア溢れる作品からは他者から与えられる影響、またどんな生活をしていても社会というコミュニティに属している現実を改めて考えさせられました。そして誰かと比べて優位に立つことで劣等感を埋め、自分よりも劣っている者がいることで安心感を得るという人の弱さと滑稽さを感じました。職業や生き方で他者を判断してはいけないと頭では分かっていますが、実際は社会にどういう形で属しどんなライフスタイルを送っているかを誰しもが心のどこかで気にしており、判断基準にしているのではないでしょか。知能と限りない欲を持つ私達はもしかするとより生きやすくするがために、周囲の誰よりも優位に立つことを必死に考えているのかもしれません。それは綺麗ごとでは決して片付けられない人間の真の姿ではないかと学んだのでした。