学生時代から変わらない悩みもある

高校生の時に出会った幾つかの小説は私の心に強く刻まれています。思春期の真っただ中にあり、毎日様々な悩みが心に浮かび消えてゆくような不安定だったあの頃に出会った文学作品には格別な思いがあるのかもしれません。そのためかあれから年月が経った今でもあの頃手にした作家の小説を無性に欲することがあるのです。
先日一冊の本を読み終え活字を欲していたこともあり、家の近くにある図書館へ向かいました。とりあえずその時の気分に合った書籍を借りようと決め、館内の棚をくまなく眺めながら短編小説が収められた単行本を借りることにしました。それは学生の頃に読んで感銘を受けた女性作家が書いたものでした。病に冒された女性が登場する物語で、わがままだけどどこか人間味溢れる姿に共感したことを覚えています。そして彼女のように自分の感情を他者へぶつけることができたらどんなに清々しく生きる事ができるだろうと考えていたことを本棚の前でふと思い出したのでした。それは今でも考えていることでもあり、あの頃も昔も私の心はあまり変わっていないことに気付かされました。若かった私は、大人になったらもっと楽になっていて今抱えている悩みは全て解決していると考えていたけど、そんなに簡単なことではないことを長い年月を掛けて学んだと感じています。借りた本を読み進めながら当時の自分を振り返りつつもこれから先を見据えて歩んでゆこうと思ったのでした。