本は友達と言うけれど

先日テレビに出ていたアーティストのグループが、とても仲良しだったので、羨ましくなりました。私には彼らのように、親友と呼べる人がいるだろうかと、考えてしまったのです。思えば学生時代は、それこそ友達と毎日顔を合わせていましたね。くだらないことから真面目な悩みまで、真剣に話し合ったものです。しかし今はそういう相手はいませんし、不安や不満もすべて自分の胸にしまい込んでいます。
そんな私を癒してくれるのが、多くの書籍たちです。問いかければ声が戻る……ということはないにしても、ストーリーの中には、お説教と違う答えが記されているものも多く、多くの主人公たちの言動は、勇気や喜びや、時には驚きや悲しみまで、与えてくれます。それらは日常、一人で過ごす時間が長い時には、とても新鮮に感じられるのですよ。
しかも本が相手ならば、次に会う約束をする必要はありません。こちらが気が向いた時にいつでも、ページを繰ることができます。それも素晴らしいですよね。……と言いつつも、友人が懐かしくなる時があるのも、事実。今は皆それぞれの生活で忙しい時間を過ごしていますが、たまには連絡をとってみようかしら。SNSやメールならば、邪魔にはなりませんよね。

攻略本も読書に通ず

いつだったか、知人に「子供が本を読まないんだけど、どうしたらいいか」という相談をされたことがあります。小さなころからゲームに夢中で、読書は学校の教科書を渋々、でも音読はつっかえてしまって、とても苦手なのですって。
正直を言えば、私は子供の頃から書籍に触れていましたので、読みたくない人の気持ちが想像できません。だから適切なアドバイスかはわからなかったのですが、「好きな作品を読ませたらいいんじゃないか」と伝えました。ゲームが好きなら攻略本でも、関係する記事が載っている雑誌でもいいと思うのです。
もちろん親としては、古典や名作などを読んでほしいと考えるでしょう。ですが内容に興味がないものを読むとなれば、大人だって苦痛なはず。それよりはまず、文字に親しむことが大事ではないでしょうか。それに最近の、分厚い攻略本を読むのは、子供の方も気合がいるでしょう。完全読破ではなく、必要なところだけに目を通すのだとしても、です。
それでも、好きなことならば理解しようと思うのが人の常。好きなものが入口になって、いつか読書に抵抗がなくなれば、それが一番スムーズな方法でしょう。名作など、いつになっても図書館にありますから、興味を持ってからで十分なんです。