優しい店主のいる古書店

看板猫のいる古書店に行ってきました。もちろん猫は店内をうろついてはいませんよ。入口付近、レジ横のベッドの中で、ひたすらに眠っているのです。私がもっと若かったころから、もうかなりの年月ここにいますから、けっこうなおじいちゃん猫でしょう。店主の女性は「こうやって大人しくしてくれているから、ここに連れてこられるんだよ」と言っていました。ちなみにこのお店は、店主高齢のため、もうじき閉店することになるのだそうです。ある意味、ここまで続いたことが奇跡だったのでしょう。
彼女は長年の仕事に満足しておられたようですが、私はやはり、寂しかったですね。ですが、悩んだ末に出したであろう結論を、どうすることもできません。私は、せめてその終わりの日までは、通い続けようと決心するくらいが精一杯でした。
始まりがあれば、終わりがあるのは当然のことと、受け入れるしかありません。せめて天使と猫ちゃんが、ここを卒業した後も、幸福でありますように。日の当たる部屋でのんびり過ごせたら、最高ですね。私はここでいままでに買い集めた本を、思い出とともに、大切にしていこうと思います。絵本に小説、雑誌に漫画。お小遣いの少なかった頃は、この古書手には、ずいぶん楽しい思いをさせてもらったものです。