ひとりきりの夜の時間

この間夜中に目を覚ますと、窓の外で、まるで嵐が来ているかのようごおごおという音が聞こえました。雨は降っていないのに風が強くて、家ががたがたと震えているのです。大人の私は「これで起きちゃったのか。うるさいなあ」と布団をかぶりました。でも眠れずに目を閉じている間にふと、子供の頃のことを思い出したのです。
台風で眠れなかった日に停電になり、真っ暗な中必死に廊下を歩いて、両親がいる部屋に向かったあのとき。「大丈夫、すぐ電気つくようになるよ」と言われて実際そうだったのだけれど、本当に怖くて、朝まで部屋に戻ることはありませんでした。今となっては微笑ましくも恥ずかしい思い出です。
夜を怖いと思わなくなったのはいつからでしょう。学生時代はひとりで過ごせる静かな時間として、読書を楽しんでいました。大人になってからは残念ながら体力が続かず、休息の時間になっています。一日が三十時間くらいあったら、もっといっぱい本が読めるのですけれどね。すべきこととやりたいことの優先順位を間違えてはいけないと思いつつも、未読のままたまった本の山が目に入ります。いつか、寝坊しても構わない日の前日に、たまには夜更かしをしてみましょうか。