本の帯に心を奪われて

私が何か本を探すとき、大体はまずタイトルに惹かれて一冊手に取ります。それから帯や裏表紙のあらすじに目を通し、挿絵があるならば軽くパラパラと捲る。そうして購入するかどうか決めることが多いです。しかし十年以上も前に一度だけ、タイトルよりも帯に吸い寄せられるように思わず買ってしまった本があります。その本はどうやらシリーズものの二巻目、あらすじを読むと絶対に難しそうな内容。けれども、どうしても帯に書かれた一言が気になってしまい、すぐに購入を決めました。
普通帯には、読者が読みたくなるようなかいつまんだ掲載内容やちょっとしたあらすじだとか、先だって読んだ人の差し障りない感想とか、何の賞を取ったとか、そういうものが書かれているという印象しかなかった私には、そのただ一言があまりにも衝撃的でした。書かれている情報が簡潔であるため、想像力は膨らみます。一見すると希望に満ちたその言葉が、物語にどう影響を及ぼすのか。本を読み終わた後、改めて帯を噛み締めてみると、作中で使われている言葉ではないのに、本当に物語を象徴する一言でした。丁寧に紡がれた、作品の言葉の力の凄さを感じさせられた瞬間です。
帯から出会ったこの本は今でも大切にしています。この本をきっかけに、本を探す時は、帯も意識するようになりました♪